がんや感染症などを攻撃する免疫のシステム。
「どこ」をターゲットとするか。ロックオンするための仕組みにはさまざまな方法があるようだ。免疫療法にとっては重要な手続きとなる。
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)では新しい方法に取り組んでいる。
注目される免疫療法
自然科学分野のオンライン学術誌サイエンティフィック・リポーツ誌で、2015年5月に報告しているもの。同大学も紹介している。
免疫の仕組みによって、がんや感染症などの病気に対抗する免疫を使った治療は注目されている。
解決しなければならない問題があるのも確かだ。
これまでの方法に欠点
攻撃ターゲットを免疫に教える仕組みとして、従来応用が進んでいるのは「樹状細胞」と呼ばれる細胞だ。
樹状細胞は、がんのような問題となる細胞を攻撃する上で、標的になる「目印」のタンパク質を免疫システムに教える役割を果たしている。
研究グループは、代わって「B細胞」を利用するアイデアを考案した。B細胞とは、異物を攻撃するタンパク質である抗体を生産している細胞となる。
樹状細胞の大きな欠点は、寿命が短いところで、そこを補う可能性が期待されている。B細胞は寿命が長く、増殖していけるからだ。
細胞を絞り込む
その仕組みは、「マイクロ流体」と呼ばれるもの。目印となるタンパク質を「細胞の中に押し込む」というもの。
極細の管の中にB細胞を流すと、窮屈な場所を通るので、細胞は絞り込まれるようになる。ここで一時的に細胞に穴ができる。この穴をうまく使い、B細胞の中に抗原を詰め込む。
B細胞はこの詰め込まれた抗原に基づいて、攻撃を担うキラーT細胞(CD8+T細胞)に攻撃ターゲットを教えるといった機能につながっていくと見られている。
がんや感染症を有効に攻撃できるか
研究グループは動物実験の段階で生きたB細胞に抗原を入れ込めると証明できた。さらに、がんや感染症の攻撃に有効性を発揮するか検証は進む。
免疫療法を充実させる方法になるか注目される。
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