https://gendai.media/articles/-/146080
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「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではないか―」2024年のノーベル物理学賞を受賞した天才・ヒントンの警告を、物理学者・田口善弘は真っ向から否定する。
理由は単純だ。人工知能(AI)と人間の知能は本質的に異なるからである。しかし、そもそも「知能」とは何なのだろうか。その謎を解くには、「知能」という概念を再定義し、人間とAIの知能の「違い」を探求しなくてはならない。生成AIをめぐる混沌とした現状を物理学者が鮮やかに読み解く田口氏の著書『知能とはなにか』より、一部抜粋・再編集してお届けする。
『「ニューラルネットワーク」の仕組み、よく理解していますか?…50年以上も前に生み出された計算システムの、意外と知らない動作原理とは』より続く。
「局所解」という落とし穴
いまとは比べるべくもないにせよ、1980年代にも計算機の大きな性能向上があり、手軽にニューラルネットワークの計算ができるようになったこともあり、非常に精力的な研究が行われた。しかし、この脳にヒントを得たシステムも実はうまくいかなかった。
このニューラルネットワークを用いた人工知能研究は、分野的にはより広い機械学習の1分野として扱われたが、なんらかのタスク(例えば「猫の写っている写真を選べ」みたいな)において他の数多(あまた)ある機械学習の手法に比べてよい性能をあげることができなかったのだ。それは「局所解」というものにトラップされてしまうからだ。

一般に機械学習はなんらかの「当て物」の形をとる。例えば、「この写真には犬が写っていますか?」とか「この経歴の人は3年以内に破産しますか?」などのような質問と、なんらかの情報をセットにして入力して、それが妥当かどうかの結論を出させるのだ。
予想と結果の食い違いを計算すれば、この機械学習がどれくらいうまく機能したかがわかる。これを数値化し、機械学習の中に含まれているパラメータをちょっとずつ更新し、食い違いが減ったらさらに更新を続け、ダメだったら一歩戻って更新しなおす。この一連の作業を試行錯誤的に、逐次的に繰り返すことで満足できるパフォーマンスになるまでパラメータを更新し続ける、という方法を取る。
ちなみに、パラメータとなるデータは、入力をどれくらい強く感じるかという「感度」と、どれくらい多数の入力がオンだったら自分もオンになるかの「閾値」が主となる。
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