量子チップ「Omega(オメガ)」
量子チップ「Omega(オメガ)」
(写真:米PsiQuantum)
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 研究成果は同日、英科学誌「Nature」に掲載された。サイクォンタムの光量子コンピューターは量子ビットに光の粒である単一光子を使用する。「測定型量子計算モデル」という計算方法を採用しており、複数の量子ビットによる特殊な量子もつれ状態の1つである「クラスター状態」の生成と測定を繰り返すことで計算処理を実行する。

 同社の量子コンピューターの構成要素は、量子ビットとして使用する単一光子を発生する「単一光子源」や「リソース状態ジェネレーター」、量子ビットのクラスター状態を生成する「フュージョンゲート」、単一光子を測定する「単一光子検出器」などである。これらの実体である多数の光スイッチや干渉計をシリコン・フォトニクス・チップに集約して実際に製造したのが、今回発表したOmegaだ。

 従来の光量子コンピューターは多数の光学部品を組み合わせて構成する必要があり、大規模化が難しかった。全ての部品をチップ上に集約できれば、100万量子ビットが現実的になるとサイクォンタムは見ている。

 サイクォンタムはOmegaを実際に製造し、良好な測定結果を得られたことから、産業レベルで製造が可能な光量子コンピューターの基盤を確立できたと主張する。実際の測定結果では、単一量子ビットの準備と測定の忠実度は99.98%、2光子による量子干渉可視度は99.5%、チップ間量子接続の忠実度は99.72%だった。Natureに掲載した論文では、光ファイバーを使って42メートル離れた量子チップを接続できたとする。

 サイクォンタムは2024年4月、オーストラリアのブリスベン近郊の拠点に誤り耐性量子コンピューター(FTQC、Fault-Tolerant Quantum Computer)を構築すると発表した。2025年中にもブリスベンと米シカゴの2拠点で、データセンター規模の量子コンピューターセンターを建設する予定だ。