https://news.mynavi.jp/techplus/article/20250221-3133649/
三菱電機は、AIを活用することで、混合プラスチック片の組成変化に応じて種類ごとに自動選別できる世界初の「スマート静電選別」技術を開発。検証実験を2月19日に開始した。
同社が家電リサイクル分野で長年培ってきたプラスチックの静電選別技術に、各種センサーを組み込み、AIを活用することで実現したもの。スマート静電選別技術の実用化と市場投入をめざして開発と検証を進め、高度選別技術の導入拡大を通じてプラスチックリサイクル率の向上に寄与していくという。
静電選別技術は、プラスチックの種類ごとに摩擦帯電傾向が異なるという静電気の特性を利用した高度な選別技術のひとつ。これまで多様な業種の企業約30社の廃プラスチックのサンプル評価試験を行い、高純度に選別できることを確認してきたが、実際のリサイクルでは回収される廃棄物によって得られる混合プラスチック片の組成がさまざまに変化するため、プラスチックの組成に応じて選別装置を都度調整する専門知識や、オペレーションノウハウが求められることが課題だったという。
三菱電機ではこの課題を解決するために、AIを駆使することで専門知識やオペレーションノウハウを不要とする、スマート静電選別技術のコンセプトを2023年8月に確立。検証機の開発を進めてきた。
カギとなるのは、プラスチック片の選別前・選別後組成識別センサーや識別アルゴリズム、プラスチック片の比電荷(摩擦帯電後のプラスチック片の帯電量を質量で除した物性値)をセンシング可能な独自の比電荷分布評価システム、センシング結果に応じて選別機を最適な条件に自動制御するAI技術。これらの技術を搭載した検証機を製作し、あらゆるプラスチックの組成に応じて、専門知識やオペレーションノウハウがなくても自動で高純度に選別できることを検証していく。
背景にあるのは、自動車産業におけるプラスチックリサイクル関連の規制強化だ。2023年7月、欧州委員会は新車に使われるプラスチックの25%(そのうち25%は自動車由来)を再生材とする規則案を発表した。欧州以外の地域でもプラスチックリサイクルに関する政策や法整備が進んでおり、各産業界でプラスチックリサイクル率の向上が急務となっている。
これまではサーマルリカバリー(廃プラスチックを熱処理することでエネルギーや原料を回収すること)や、埋め立て処分の方法をとっていた廃棄物からも、再生材として製品に使用可能なプラスチックを選別・回収することが求められる。しかし、プラスチック製品の中には数種類のプラスチックが混在しているものがあり、リサイクルする上ではこれらを種類ごとに高純度に選別しなければならないことから、高度選別技術のニーズが高まっているとのこと。
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