- 2015/12/11
- GIGAZINE
ドイツのマックス・プランク研究所で、核融合炉「ヴェンデルシュタイン(Wendelstein) 7-X」の初実験が行われ、ヘリウムを用いてのプラズマ生成に成功しました。
First plasma in Wendelstein 7-X | Max-Planck-Institut fur Plasmaphysik
http://www.ipp.mpg.de/3984226/12_15
「ヴェンデルシュタイン 7-X」は2005年4月から建設が始まり、2014年5月に完成。そこから実際に動かすためのテストなどが1年かけて行われました。建設途中の2011年に撮影された姿はこんな感じ。
核融合炉の実現には高温・高密度のプラズマを閉じ込める必要があり、これまではトカマク型が有力とされてきましたが、ヴェンデルシュタイン 7-Xではヘリカル型(ステラレータ)が採用されました。
その見た目は「Science」によるとこんな感じ。上段の灰色のモノは最も外側の極低温冷却装置を示しています。中段は冷却装置の内側の図で、黄色は平らな超伝導電磁石、赤色は非平面の超伝導電磁石。円を描くように並べられていますが、同時に非平面の電磁石は同じ形のものを並べているのではなく螺旋のようにねじりながら配置されています。下段は電磁石と、その中に生まれたプラズマ(青色)が示されています。
Feature: Germany fires up bizarre new fusion reactor | Science/AAAS | News
http://news.sciencemag.org/physics/2015/10/feature-bizarre-reactor-might-save-nuclear-fusion
以下は建設の様子を短くまとめた映像ですが、電磁石の配置がどうなっているのかとても分かりやすい図が含まれています。
Fusion reactor designed in hell makes its debut - YouTube
これは非平面の電磁石を並べているところ。電磁石1つがおおよそ成人男性の身長ぐらいの大きさがあります。
髪の毛などを落とさないように衛生帽子を被って作業中。
直径が18mある外側の冷却装置を組み上げているところ。
上から見下ろした図。大量のパーツが置かれています。
ここからは模式図。内側の「ねじれ」構造はこうなっています。
非平面の電磁石はそれ自体が複雑な形状をしていて、さらに円に対して螺旋を描くように50個配置されています。
その外側に20個の平面の電磁石。
全体を冷却装置が覆っています。この中にプラズマが生まれる、というわけです。
実際に今回撮影されたプラズマがコレ。
なお、今回はヘリウムを用いて、10分の1秒で約100万度のプラズマが生み出されましたが、これは問題なくプラズマ生成が行えるかどうかのテストのためで、2016年1月末からは水素を用いてのプラズマ生成が行われる予定。
原子の核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、核融合炉では連鎖反応がないため暴走は起きず、またウランやプルトニウムとは違って水素などありふれた資源を使えばよいことから、その実用化が待ち望まれています。
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