2015年12月8日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、血液がん[再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)]の患者に対する抗がん剤「FF-10501」の米国臨床第I相試験において、高い忍容性が確認され、さらに一部の患者で部分寛解(*1)および骨髄寛解(*2)が得られたこと、をお知らせいたします。
今回の中間報告は、12月7日(現地時間)に、米国フロリダ州で開催している、世界最大の血液学会「American Society of Hematology」の第57回年次総会において、治験責任医師である、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(以下、MDアンダーソンがんセンター)(*3)のGarcia-Manero(ガルシア・マネーロ)教授より発表されました。
MDSは、血球を作る造血幹細胞に異常が生じて、十分な量の血球を作ることができなくなった結果、血球減少を起こす難治性疾患です。現在、MDSの患者数は、米国で約6万人、日本で約1万1千人と推定されており、特に高齢者に多く認められます。また一部、予後不良の患者はAMLに進行します。AMLは、異常を起こした造血幹細胞の割合がMDSより増加し、正常な血球を作ることができなくなるだけでなく、その細胞が骨髄外の組織に入り込んで障害を引き起こすこともある疾患で、AMLの患者数は米国で約2万5千人、日本で約6千人と推定されています。
富士フイルムは、平成26年8月より、がん領域で世界トップレベルの研究・治療施設であるMDアンダーソンがんセンターで、再発・難治性のMDSおよびAMLの患者を対象に「FF-10501」の米国臨床第I相試験を進めてきました。本試験は現在も実施中ですが、現時点までに以下の内容が確認されています。
- 「FF-10501」を投与した全17名(MDS:4名、AML:13名)の患者において、高い忍容性があること
- 17名の内、8名(MDS:2名、AML:6名)の患者において、病勢が安定すること
- さらに、上記8名の内、1名のMDS患者で骨髄寛解、2名のAML患者で部分寛解が得られたこと
今後、富士フイルムは、MDアンダーソンがんセンターでさらなる高用量での忍容性評価を継続していきます。またこの中でみられる有効性も評価して、前期第II相の臨床試験へ移行する予定です。
富士フイルムは、化合物の合成力・設計力や解析技術、生産技術といった、写真フィルムで培った技術・ノウハウと、富山化学工業をはじめとした、医薬分野のグループ会社の技術を結集・融合させて、画期的な医薬品の研究・開発、生産プロセスの創出に取り組んでいます。今後、アンメットメディカルニーズが高い「がん」などを重点領域ととらえ、研究・開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な医薬品の提供を通じて社会課題の解決に取り組んでいきます。
*1 異常を起こした造血幹細胞(芽球や白血病細胞と呼ばれる)の骨髄に占める割合が、治療開始前の値から50%以上減少するが、依然5%を超える状態。
*2 異常を起こした造血幹細胞の骨髄に占める割合が、治療開始前の値から50%以上減少し、かつ5%以下まで減少した状態。
*3 テキサス州ヒューストン(米国)にあるがんの治療・研究・教育・予防を専門とする世界最大規模のがんセンター。1941年に設立され、がん撲滅をミッションとしている。3つの精神「思いやり」「誠実」「発見」の理念に基づき、がん治療の国際的リーダーとして、これまで多くの新しいがん治療を開発してきた。
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