総務省は10日までに、NTTドコモなど携帯電話事業者3社に対し、2017年度から全てのスマートフォンでIPアドレスの新規格で、ほぼ無限にアドレスを割り振れる「IPv6」でネット接続できるよう求める方針を固めた。米アップルは既にIPv6を前提としたサービス提供を進めており、携帯事業者が未対応だと、日本のiPhone(アイフォーン)利用者に不都合が生じる可能性もある。また、政府が力を入れる、あらゆるものがネットにつながる「IoT」時代には、携帯回線のIPアドレスが爆発的に増える可能性もあり、総務省はIPv6対応を急がせる考えだ。
従来のIPv4は実際に使えるアドレスが約40億個で、既に枯渇している。ただ新規格のIPv6への移行は、端末機器、ネットワーク、サービスのそれぞれで対応が必要となる。対応には「数百億円が必要」(携帯事業者)との見方もある。米国では大手携帯事業者のベライゾンで既に利用率が7割を超えた。アップルは最新の基本ソフト(OS)でIPv6対応を必須としており、従来のIPv4経由で利用すると一部アプリで反応速度が遅くなる場合もあるという。
日本では、固定回線のインターネットでは昨年末で大手プロバイダーの9割がサービスを提供するなど対応が進む。しかし、大手携帯事業者は、固定のプロバイダーに比べて多くの利用者を抱え、設備投資やセキュリティー対策などでコストや手間がかかるため未対応。限られたアドレスの在庫を効率的に運用することなどで、IPv4でのサービスを継続している。ただ、携帯事業者もIoTなど新産業創出に向けて、IPv6対応の必要性を認識しており、総務省の要請を受け入れる。
総務省は今月まとめるIPv6の高度利用に関する研究会の報告書案で「国際競争力確保の観点から、IPv6対応の見直しが必要」と強調した上で、「2017年度から販売するスマホ利用者が、意識せずに標準でIPv6を利用している状況を実現すべきだ」と明記する。意見公募を経て、年明けにも報告書を公表する。
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