19時間前
群馬大生態調節研究所の佐藤健教授(細胞生物学)らの研究グループが、細胞内での物資輸送を制御するタンパク質「Rab11」を活性化させるタンパク質を発見したと発表した。「REI−1」と命名。将来、がん治療に役立つことも期待される。研究論文は10月27日付で米科学誌「デベロプメンタル・セル」に掲載された。
佐藤教授によると、Rabタンパク質は人間の細胞に60種以上存在し、中でも「Rab11」は細胞内の物質輸送や細胞分裂などに作用する重要度が高いもの。スイッチがオンとオフの状態があり、オン型の時に活性化して機能を発揮する。しかし、オフからオンに切り替わるのに必要な物質(活性化因子)は特定されておらず、世界中の研究者が探していた。
佐藤教授らは6〜7年前から研究に着手。線虫のRab11を調べたところ、オフ型とよく結合する機能不明のタンパク質を発見した。これを「REI−1」と命名し、Rab11の活性化因子ではないかと推測。実験によって作用を確かめることに成功した。
別の実験ではREI−1の具体的な機能として、REI−1がRab11を細胞内の正しい場所に導き、線虫の受精卵の細胞分裂をサポートしていると突き止めた。
創薬分野への貢献も期待される。従来の研究で、ある種類のRab11の活性が低下すると、アルツハイマー病の原因の一つであるタンパク質「βアミロイド」が増えにくくなることや、別種のRab11の活性がなくなると、卵巣がんの進行を抑えることが証明されている。Rab11の活性をコントロールするREI−1をうまく利用すれば、各疾患に有効な治療薬開発につながる可能性がある。
研究論文の筆頭著者は佐藤美由紀・群馬大准教授と坂口愛沙・元群馬大助教(現大阪大)の女性研究者2人。責任著者の佐藤健教授は「今後、哺乳類の細胞でREI−1とRab11の関係や機能を調べていく」と話している。【尾崎修二】
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