東京大学幹細胞治療研究センターの研究チームは、iPS細胞の技術を用いて作ったヒトの免疫細胞で、マウスの体内に出来たがん細胞を縮小させることに成功したと発表しました。
iPS細胞で若返らせた「キラーT細胞」の効果
この研究を行ったのは東京大学の中内啓光教授らのグループで、ヒトのiPS細胞から、「キラーT細胞」と呼ばれる免疫系の細胞を作り出しました。
このキラーT細胞をがんのマウスに投与したところ、がんの大きさが10分の1以下になり、半年後の生存率も高まったということです。
これまでにも、体内のキラーT細胞を取り出して培養し、ふたたび体内に投与する「T細胞療法」と呼ばれるがん治療法は存在していましたが、今回の若返らせたT細胞は従来の治療法よりも、効果的にがんを縮小させ、マウスの生存率も高まるという成果をみせています。
また、移植した細胞ががん化や、副作用を起こしたときに備え、iPS細胞の段階で、特定の薬があるとその細胞を殺してしまう「自殺遺伝子」を組み込みました。
iPS技術で、若返らせた細胞を使用して、体内のがん腫瘍を小さくできることが示されたのは世界で初めてのことだとのことで、本研究をおこなった中内教授は、「数年以内に、実際にヒトに投与して安全性や効果を確かめる臨床研究を始めたい」と意気込んでいます。
実用化されるのはまだまだ先になるでしょうが、段々と近づいてきているのを感じますね。続報が待たれます。
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