11月11日 17時48分
iPS細胞を使った再生医療の実用化に向け、文部科学省の専門家会合は、髪の毛を作り出す「毛包」や、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラーT細胞」の作成など新たに5項目の研究を加えた、今後10年間のヒトへの応用の工程表の案を大筋でまとめました。
iPS細胞の実用化に向けた工程表の改定案は、11日に開かれた文部科学省の専門家会合で示されたもので、ヒトへの応用をいつごろから始めるのか、今後10年間の臨床研究などのスケジュールが盛り込まれています。
それによりますと、心臓病の患者に対してiPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞を移植する治療は、2年後の平成29年をめどに、また、血液の重い病気の患者にiPS細胞から作った血小板を投与する治療は、来年、平成28年をめどに、それぞれ臨床研究や治験などヒトへの応用を始めるとしています。
また、今回の案では、髪の毛を作り出す「毛包」や、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラーT細胞」、それに、生まれつき歯が生えなかったり事故で失ったりした人の治療に使う「歯」の作成など、新たに5項目の研究も加えられました。「毛包」は4年後から5年後をめどに、「ナチュラルキラーT細胞」は2年後から3年後をめどに、臨床研究や治験を始めるとしています。
iPS細胞を巡っては、去年、重い目の病気の患者に目の網膜の組織を移植する世界初の手術が行われ、このあと京都大学のパーキンソン病の治療が続く見込みでしたが、新たな工程表案では、パーキンソン病のヒトへの応用は現在の工程よりも1年程度繰り下げられ、来年以降に始まる見通しとなりました。
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