https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2503/14/news083.html
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Innovative Tech(AI+):
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高いAI分野の科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
X: @shiropen2
中国の東南大学などに所属する研究者らが発表した論文「LLM-Feynman: Leveraging Large Language Models for Universal Scientific Formula and Theory Discovery」は、大規模言語モデル(LLM)を活用して科学公式を発見するシステムを提案した研究報告である。
データから根底にある原理を抽出することは、科学的進歩の原動力となってきた。しかし、従来のデータ駆動型機械学習(ML)手法は、深い専門知識を欠いているため、解釈や一般化が困難な不透明または過度に複雑なモデルを生み出す傾向がある。
今回研究チームが提案する「LLM-Feynman」は、データを分析するだけでなく、AIに蓄積された膨大な科学知識を活用して、シンプルで理解しやすい公式を見つけ出すことができる。
LLM-Feynmanは3つの主要部分から成り立っている。まず、データの特徴を自動的に抽出する部分、次にAIが公式を作り出して自己評価する部分、最後に発見した公式の意味を解釈する部分である。従来の機械学習法と比較したところ、同じ複雑さの公式でもより高い精度を達成できることが分かった。
この技術の有効性を検証するため、研究チームはフェインマン物理学講義のデータを使って実験を行った。結果として、LLM-Feynmanは物理公式の90%以上を正確に再発見することに成功した。
また、材料科学の重要な問題にも応用したところ、優れた結果を示した。例えば、2D材料(原子1層の厚さしかない材料)やペロブスカイト(特殊な結晶構造を持つ材料)が実際に合成可能かどうかを予測する公式を発見し、90%を超える高い精度を達成した。
特に2D材料の合成可能性を予測するため、研究チームは360の科学論文からAIを使って情報を抽出し、実験で成功した材料と理論上のみ存在する材料のデータベースを構築。LLM-Feynmanを使って分析したところ、従来の方法より優れた予測公式を発見した。この公式は、材料の電子構造、元素の種類、熱力学的安定性という3つの要素を組み合わせることで高い精度を実現している。
Source and Image Credits: Song, Z., Ju, M., Ren, C., Li, Q., Li, C., Zhou, Q., & Wang, J.(2025). LLM-Feynman: Leveraging Large Language Models for Universal Scientific Formula and Theory Discovery.
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