https://members.techfactory.itmedia.co.jp/tf/members/2407/31/news01.html
https://members.techfactory.itmedia.co.jp/tf/members/2407/31/news01.html
半導体業界のBIM活用
半導体工場の新設や改修が相次ぐ。だが、半導体工場は複雑な構造や特殊な設備を持つ。迅速に設計して適切な投資判断をするため、BIMベースのデジタルツイン関連ツール活用が注目を浴びている。この領域で高評価を得ているのがオートデスクだ。
建設計画を遅延させない工場のデジタルツイン
半導体工場のデジタルファクトリー化は重要だが、それと並んで大切なのが実績あるBIMプラットフォームの活用だ。ここで紹介したいのがオートデスクだ。3D CADベンダーとして世界的に有名な同社は、グローバルでBIM市場をけん引してきた実績がある。同社のBIMソフトウェアは国内のゼネコンや建築設計事務所に採用され、高い評価を受けてきた。
オートデスクは上記BIMとデジタルファクトリーを統合されたデータプラットフォームを用いて運用する、「IFM(Integrated factory modeling)」というコンセプトを持っている。IFMでは工場計画とBIMを組み合わせた環境にて生産施設や機器を全てデジタルで表現し管理・シミュレーションすることができる。
IFMのコンセプト図[クリックして拡大] 提供:オートデスク
オートデスク 日本地域営業統括 設計・製造営業本部 アカウントマネージャーの山崎義弘氏(実際の漢字は右側の「大」が「立」のたつさき)は、「製造と建設の融合を図ることで、単なる工場の可視化にとどまらず迅速な投資判断に資する重要な指標と情報の活用が可能になります」と説く。
なぜIFMのアプローチが半導体業界で重要になるのか。オートデスク コマーシャルカスタマーサクセス部 カスタマーサクセスマネージャー(製造業界担当)の阿部敏朗氏は、「半導体工場は要求される技術の進展により、近年より構造の複雑化が進んでいます。 そのため、サブファブなどの設備を含めた工場全体の構造を仮想空間にデジタルツインとして表現することで、関係者全員が共通のデータ基盤にアクセスしてコラボレーションを行える環境を整備することが必要です。こうしたデータ基盤を活用し 今後の工場の変更や改修、新設や運用に活用するアプローチが今後重要になります 」と指摘する。
だが現実には、多くの製造業と同じく半導体業界も製造と建設、設備のデータを異なるシステムやデータ基盤で管理している。データがサイロ化している状態では、あるチームの修正事項は別のチームのデータに反映されない。組織全体のデータの一貫性を損なうのだ。
これによって生じる工場建設のトラブルも少なくない。例えば 、「現場判断での配管位置の修正などが記録に残らない 」「新設備の稼働に必要な電力や容量の適切な計算 や付帯設備のスペースを確保できない」といった問題だ。プランニングの過程で、組織内のコミュニケーションに起因するささいなミスがスケジュール遅延やコスト超過のリスクを高めてしまう。
IFMはこうした問題を解決するためのソリューションだ。オートデスク 日本地域営業統括 設計・製造営業本部 業務執行役員 本部長の加藤久喜氏は「プロジェクト関係者全員に必要な正確な情報を、IFMにリアルタイムで一元的に集約する。これにより、半導体工場における変更、改修、新設といったプロジェクトの全フェーズをつないだ最適化が可能になります」と語る。
オートデスク 日本地域営業統括 技術営業本部 設計・製造テクニカルソリューション エグゼクティブの清水元氏は「工場の建屋から製造ライン、各設備のデータを全て標準化して透明性を高めます。もうサイロ化は生じません。複数チームを横断した関係者がリアルタイムに同じデータを共有し、アジャイルにコラボレーションすることが可能です。IFMのコンセプトに基づくデジタルファクトリーが、工場のライフサイクル全体を通じて的確な意思決定を実現します」と説明する。
インテルやボッシュも進めるBIM活用
実際に、どんな半導体メーカーがBIMを活用しているのか。
インテルは60億~80億ドルもの資金を投じて既存工場の技術アップグレードを図っている。さらに米国オレゴン州とアリゾナ州に新しいチップ製造施設を建設している。
新工場の設計に当たってインテルは、オートデスクの3D CADやBIMソフトウェアを活用してコスト削減や工期短縮、労働時間の削減を実現した。
「3D CADやBIMをプロジェクト全体の計画やコミュニケーションを支えるプラットフォームとして理解して活用したことが、この成果をもたらした重要なポイントです」(加藤氏)
インテルは新たなチップ製造ラインの設計に当たり、「copy exactly」と呼ばれる考え方を取った。導入すべき製造装置などを徹底的に検討して作り込んだマスタープランを、他工場の建設にもなるべく変更せずに横展開するという基本戦略だ。
この戦略を支えるのが、BIMによって1つのプラットフォームに集約して一元管理されたデータだ。清水氏は「これによって、世界規模での新工場の展開や新たな微細化プロセスに対応した既存工場のアップグレードがさらに加速するでしょう」と語る。
もう一つの事例が、パワー半導体の生産能力をさらに増強させようとしているボッシュだ。オートデスクのBIMおよびクラウド基盤ツールを効果的に活用し 、IFMのコンセプトを採用することでデジタルファクトリーの実現を進めている。
「ボッシュはBIMモデルに改修の進捗、設計図面や校正情報などの 属性情報をひも付け、必要な関係者が利用できるようにしました。新設備の導入においてコストを20%、導入リードタイムを30%削減したことに加え、効果的な設備運営を行うなど、大きな成果を出しています」(清水氏)
グローバルの大手半導体メーカーは革新的なチャレンジを進めている。国内の半導体メーカーの取り組みはどうだろうか。
加藤氏は「BIMソフトウェアの導入自体はそれなりに進んでいます。ただ、工場建屋の意匠設計や構造計算などでの利用にとどまっているケースが少なくありません」と語る。現状では、後塵(こうじん)を拝していると言わざるを得ない。国内メーカーがこれ以上後れを取らないためにも、同様の取り組みは急務と言える。
手戻りの少ない、合理的なコラボレーションを実現
国内メーカーが取り組む上で必要なのは、「BIMで何ができるのか」についての理解を深めることだ。
一般的にBIMは、建物の3Dモデル化とオブジェクトベースの建築情報の集約および整理(データベース化)を実現する手法だ。オートデスクのRevitを中心としたBIMソリューションを活用することで工場レイアウトや製造ラインの工程をシミュレーションできるのが特徴だ。
阿部氏は、「まず建設、改修時における進捗把握や大規模かつ複雑な設備の干渉判定が迅速に行えることが大きなメリットです。そしてBIMデータを整備し、組織内で適切な関係者へ共有することで、生産工程や設備の設計・配置ミスによる手戻りを減少させ、コスト削減と期間短縮が可能です」と語る。
今後、半導体業界でも社内の関連部門やサプライヤーとの連携の重要性はさらに高まる。清水氏は、「当社のソフトウェアは異なるシステムでばらばらに管理されていたデータのサイロ状態を解消し、リアルタイムな情報共有を実現します。メールに依存した非効率な情報のやりとりから脱却した合理的なコラボレーションが可能です」と説明する。
サステナビリティーへの配慮も半導体メーカーの重要な経営課題だ。オートデスクはこの領域でも世界的に高い評価を得ている。2022年1月に発表された「世界で最も持続可能な100社」のランキングで、オートデスクは3位に位置付けられた。根幹にある「より良い世界に」というサステナビリティーのビジョンがBIMソフトウェアにも反映されている。
「製造プロセスのデジタル化や自動化は、SDGsの各目標達成に大きな影響力を及ぼします。オートデスクのBIMソフトウェアを使えば、建造物や製造工程のCO2排出量のシミュレーションや3Dモデルと製造データ、製品データをひも付けた分析と意思決定によって、適切な原材料やサプライヤー、物流手段を選択できます」(山崎氏)
オートデスクは注目度が高まる生成AI(人工知能)の活用も視野に入れている。オートデスクが生成AIに関する研究を学術的なコミュニティーと共同でスタートしたのは2009年のことで、AIラボを中心に多くの技術の蓄積がある。
加藤氏は「生成AIを活用することで、さまざまな要件に合致したBIMの3Dモデルデータを自動的に作成する研究も進めています」と展望を語る。オートデスクが提唱するIFMの世界観は、最新の技術革新を取り入れることでさらに拡張することになりそうだ。
記事コラボウェビナー「スマートファクトリー実現への道:半導体製造の革新的管理戦略」
関連リンク
提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部
0 コメント:
コメントを投稿