【AFP=時事】長年、SF作品の世界の中だけのものだと思われてきたレーザー兵器。その能力こそ映画ほど劇的なレベルには届かないものの、米軍でついに現実のものとなりつつある。
軍需・防衛大手のボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイセオンはこぞって、国防総省向けにレーザー兵器の試作品を開発している。
米海軍は2014年から、輸送揚陸艦ポンセで、30キロワット級レーザー砲を試験運用している。
またロッキード・マーチンは60キロワットのレーザー兵器について発表したばかり。間もなく陸軍のトラックに搭載され、迫撃砲や小型無人機に対する運用が試される。同社関係者によると、このレーザー兵器は約500ヤード(約460メートル)離れた場所の無人機に対し、レーザービームを数秒間集中照射して撃墜できるという。
戦略予算評価センターのマーク・ガンジンガー上級研究員は、ほんの数年のうちにさらに強力な150キロワット超の試作品が登場するとみている。そうしたレーザー兵器であれば、ミサイルに最大の打撃を与える側面から狙って撃ち落とすことが可能になる。
ガンジンガー氏によると米軍特殊部隊は、展開部隊の地上支援に特化したAC130対地攻撃機に、2020年までにこうしたシステムの試験搭載を希望しているという。そして米軍は6~8年以内にも、300キロワットを超えるレーザー兵器システムを使用できるようになる可能性があると見込んでいる。その程度の威力になると、飛来してくるミサイルを正面から撃墜できる。そうなればついに、現実がフィクションに追い付くことになる。
米軍はさらに、非常に高い高度を飛ぶ無人機へのレーザー兵器搭載も検討している。実現すれば、発射直後の弾道ミサイルを撃ち落とせる能力が加わる。
軍にとってレーザー兵器のもう一つの利点は、ほぼ際限なく使え、しかも安価な兵器だという点だ。砲弾を要する従来の火砲とは違い、生成する電気量さえ確保すれば、レーザー砲を制限するものはなくなる。
ガンジンガー氏は、レーザー兵器がとりわけ威力を発揮するのは戦闘機に搭載する場合だとみている。敵のミサイル防御用の射撃能力を無限に保有できる可能性があるからだ。「兵器を追加搭載するために基地へ戻る必要がなくなる。燃料補給もでき、ほぼ無限の弾倉を搭載した格好で作戦を続行できる」 【翻訳編集】AFPBB News
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