日立が東京・大森にあるオフィスに、指静脈による認証で入退館を管理するゲートを設置。歩きながら指をかざすだけで正確な本人確認をする実証実験を行っている。鉄道の改札機と同等の応答速度を目指すとのことだが、本当に可能なのだろうか?
手をかざせば、0.3秒で認証が終わる世界
2017年4月27日木曜日
Suicaの代わりに「手」をかざす時代がやってくる? おサイフケータイ(Felica)より優れている 日立のウォークスルー型指静脈認証を見てきた
「ボーっとしていて、改札機で社員証をかざしてしまった……」 皆さんの中に、そんな恥ずかしい経験をしたことがある人はいないだろうか。
非接触型ICカードが登場してから、駅の改札機やビルの入退館ゲート、執務室の出入口などに、私たちは1日に何度もカードをかざすようになった。急いでいたり、慌てていたりすると、カードを間違えることもあるし、何よりカードをバッグから取り出すのが面倒だ。
しかし、これからはカードではなく「手」をかざしてゲートを通り抜ける――そんな行為が当たり前になるかもしれない。日立製作所(日立)が今、東京・大森にあるオフィスで、指静脈による認証で入退館ができるゲートを設置し、社員700人ほどで実証実験を行っているという。改札機と同等の応答速度を目指すとのことだが、実際のところはどうなのか。大森に向かい、実機が動いている様子を見てきた。
日立が実証実験を行っているのは「ウォークスルー型指静脈認証」の技術。なりすましのリスクが低い「指静脈」を使い、センサー部に手をかざすことで、立ち止まることなく認証を行えるのが特徴だ。従来の指静脈認証は、決められた位置に指を置くために立ち止まる必要があったが、最新の技術では、指の検出範囲を広げ、かざした指の数や位置、向きが変化しても、瞬時に指静脈パターンを検知できるようにしている。
実際に人がゲートを通過する様子を見ると、手をかざすとすぐに認証が行われており、認証で待たされて渋滞が起きるようなことはなかった。改札機のICカードをかざす部分に相当する、手前のLEDが点灯しているエリアに手をかざす構造になっており、利用者にとっては慣れた動きになる。照合処理を高速化することで、「指をかざしてから認証までが約0.3秒で終わる」(日立)とのことだが、実際にその程度で認証ができていた印象だ。
実験が3月下旬に始まって約1カ月が経過した今、約700人が指静脈を登録し、日常的に指静脈認証ゲートを利用しているという。利用者の満足度は高く、今のところ誤認証は起きていないそうだ。
日立のウォークスルー型指静脈認証ゲート。駅の改札機のようなスピードで認証が行えているのが分かる
実はこのウォークスルー型指静脈認証は、2014年12月に既に発表されていた技術だ。この実証実験が始まるまでに2年以上かかったことになるが、その裏では一体何が起きていたのだろうか。
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